MONARCH COLUMN BIRDER編集部によるMONARCHレポート MONARCHシリーズに新モデル登場

MONARCHシリーズの系譜

「MONARCH=王者」,この名を冠する双眼鏡が登場したのは2002年のことだ。当時は高級な上位機種のみに搭載されていた位相差補正コーティングを採用しつつ、価格を3万円台に抑えた点が大いに注目され、バードウォッチャーにとっての双眼鏡の主流が、ポロタイプからダハタイプへと変わるきっかけとなった1台であった。それ以降、このシリーズは充実した機能とコストパフォーマンスを両立した、ニコンのスタンダードモデルとして、多くのバードウォッチャーに愛されている。
そんなMONARCHシリーズにこのほど、新しい双眼鏡「MONARCH HG」と望遠鏡「MONARCH FIELDSCOPE」が登場するとの報があり、編集部ではさっそくその性能を試す機会を得ることができた。

MOANRCH最上位の双眼鏡

双眼鏡「MONARCH HG」はMONARCH7や5の上位機であり、シリーズ最上級の国産機だ。口径は42mmで8倍と10倍の2種類がある。その外観はHGのために新設計されたものであり、シリーズ初採用のマグネシウム合金を使用した本体は、金属部分を前面に出したデザインで、鏡筒やブリッジはやや細身である。ラバーコーティングの材質もよりなめらかなものに変わり、重厚感のあるMONARCH7や5と比べ、スマートで高級感のあるシルエットや質感になった。防水性能も高められており、急な雨のような激しいコンディション下での観察でも安心な、タフな双眼鏡となっている。
操作面では、視度ロック機構をシリーズでは初めて搭載し、気づかないうちに視度調整ダイヤルが動いてしまうことを防いでいる。また、対物レンズキャップはシリーズ共通のフリップダウン式(キャップが本体からぶら下がる形状)だが、ユーザーの好みを反映し、対物レンズ側先端を取り外し可能な「対物ラバーリング」に変更。ユーザーは同梱された「キャップ付き」と「キャップなし」2種類のリングを選べるという、ユニークな機構を備えている。

扱いやすい軽量かつ強靭なボディーに周辺までくっきりと明るく広い視界ーこれがシリーズ最高峰MONARCH HGだ!

光学系ではシリーズの特長にもなっている広視界はHGでも健在。加えて視野周辺部までシャープな像を実現する「フィールドフラットナーレンズシステム」をシリーズで初採用している点が目玉だ。さらに「高品質多層膜コーティング」などレンズのコーティングも改良されており、光の最高透過率は92%を誇る。これらの改良により、周辺部までシャープで、広く、明るい視界を確保しているのがHGの光学系の特長である。

待望の新しい望遠鏡

一方の望遠鏡「MONARCH FIELDSCOPE」はその名のとおり、MONARCHシリーズの望遠鏡として作られたものだ。対物レンズ口径は82mmと60mmであり、名機とうたわれた「ED82/EDⅢ」の後継機として位置づけられている。このクラスの望遠鏡の登場はユーザーにとって待望のものだろう。
一見してわかる違いは本体の色で、これまでの明るいグリーンから、MONARCHのシリーズカラーであるブラックに変わっている。また接眼レンズの取り付け方法が従来のねじ式からロック付きのバヨネット方式となり、脱着が簡単になった。直視型では使用するプリズムタイプの変更により、ピントリングより後ろのボリュームが増し、全体の重量バランスは接眼レンズ側にある印象だが、バヨネット方式で大きくなった接眼レンズを合わせると、シルエット的には全体のバランスがとれている。

見やすく、扱いやすくなって新登場ーこれが待望のMONARCH FIELDSCOPEだ!

光学系に関しては対物レンズ側にEDレンズを搭載している点は「ED82/EDⅢ」と同じ。さらに「EDG FIELDSCOPE」でも採用された色収差の補正システム「アドバンスト・アポクロマート」や「MONARCH HG」と同じフィールドフラットナーレンズシステムを使用することで視野の周辺部までシャープでクリア、かつくっきりとした見え味となり、その明るさやクリア感は「ED82/EDⅢ」を大きく超えたという。また細かい部分だが、ピントリングの駆動系にもEDG FIELDSCOPEと同じシステムが採用された。同じ程度リングを回転させた場合でも、近距離では大きくピントが変わり、遠距離では小さく変わる。いわば“近距離では粗動、遠距離では微動”といった仕組みである。対象物との距離が遠いとピントがずれやすくなるが、細かい動きでピントの山を外しにくくなる点はありがたい。

接眼レンズは3種類(左からMEP-38W,MEP-20-60,MEP-30-60W)。いずれも新設計でデジスコ撮影に対応。30-60倍ワイドズーム(MEP-30-60W)の見え味のよさは特筆もの

接眼レンズは3種類(左からMEP-38W,MEP-20-60,MEP-30-60W)。いずれも新設計でデジスコ撮影に対応。30-60倍ワイドズーム(MEP-30-60W)の見え味のよさは特筆もの

接眼レンズは今回新設計となり、単焦点が38倍の1種類、ズームが20~60倍と30~60倍の2種類となっている。(この数値は82mm口径の場合であり、60mm口径の場合はそれぞれ30倍、16~48倍、24~48倍となる。)中でも30~60倍の接眼レンズは、単焦点レンズに匹敵する広視界タイプとなっているのが特長だ。またデジスコーピングシステムにも対応しているので、純正のブラケット(DSB-N1、FSB-UCなど)を介したデジスコ撮影も楽しめる。(一眼レフカメラでの撮影はできない。)

MONARCHシリーズの系譜

スリムで持ちやすいボディー。手の小さな女性にも扱いやすいデザインになっている

スリムで持ちやすいボディー。手の小さな女性にも扱いやすいデザインになっている

ここまでは外観や光学系について紹介してきたが、やはり実際にのぞいてみないことにはその改良点を実感することはできない。さっそく屋外での観察を試みた。当日の天候は曇り、夕方の空は暗いが、こういうコンディションだからこそ、性能をより強く実感できるというものだ。
まずは「MONARCH HG」、細身のボディーはほかの42mm口径の双眼鏡に比べて持ちやすく、ホールド感はかなり高い。ブリッジの部分も細いので、ピントリングに人差し指がしっかりかかる印象だ。手の小さい人や女性であれば、その違いをより実感できることだろう。光学性能を高めるためにレンズ枚数が増えているものの、マグネシウム合金の採用などによって重量増加は最小限に抑えられており、構えたときのバランスも良好だ。

スリムで持ちやすいボディー。手の小さな女性にも扱いやすいデザインになっている

スリムで持ちやすいボディー。手の小さな女性にも扱いやすいデザインになっている

のぞいたときの視界はとても明るく、視野周辺部までシャープな像を実現しながら、立体感も感じるというのが第一印象。色も自然な感じで、ちょうど見ているときにワカケホンセイインコが現れたのだが、鈍色の空に鮮やかな緑の鳥が、飛び去って視界の端に消えるまで鮮明な像を結び続けていたのが印象的だった。これなら、葉の茂った薄暗い森の中でも鮮明に鳥を見られることだろう。このときに一緒に見比べて比較対象としていたのが、あの「MOANRCH7」であることを考えれば、「あれより上の見え味がまだあるのか」と驚きを隠せない。

「MONARCH FIELDSCOPE」は「ED82/EDⅢ」と並べると本体色の変更や、少し大柄になったシルエットもあって、重厚感のある見た目という印象だ。ピントリングのパターンが変更されたことで指がかかりやすく、また接眼レンズも径が太くなったことでズームの操作がやりやすくなった。
見え味のよさはさすがのひと言で、「ED82/EDⅢ」と見比べれば、その明るさや色再現性の向上は一目瞭然である。解像度が高いため遠くの建物の細かい構造もしっかり見えるし、中距離の林の緑も鮮やかだ。特に30~60倍ワイドズームレンズは、倍率最小→最大に変えたときに視野の明るさはほとんど損なわれておらず、見える範囲も広いので「これは本当に60倍か?」と思う見え味であった。

実際の見え味を確認

MONARCHシリーズの最上位双眼鏡と待望の新しい望遠鏡、両者の登場によって、初心者のみならず、専門性の高いコアユーザーにとってもこのシリーズの魅力は高まることになるだろう。 
「MONARCH7に備わっていないものを作りたい」という思いで開発された双眼鏡「MONARCH HG」は、一新されたデザインと良質な見え味で、所有する喜びをユーザーに与える新モデルである。
また、新しい望遠鏡「MONARCH FIELDSCOPE」に関しても、近年の鳥見スタイルの変化に対応して、「観察道具としての望遠鏡」という原点に立ち戻って開発されたものだという。初めて望遠鏡を見る人には、カメラのレンズなどとは異なるクリアな見え味を、かつてデジスコで野鳥撮影を楽しんだ人には望遠鏡で細部まで観察できる喜びを思い出させてくれるツールになるだろう。
これから秋、冬にかけてシギ・チドリの渡り、タカの渡り、冬鳥の到来など、双眼鏡や望遠鏡の出番が増える季節が続く。より魅力的なラインナップとなったMONARCHシリーズと一緒に、バードウォッチングシーズンの本番を楽しんでみてはいかがだろうか。

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